大判例

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横浜地方裁判所 昭和52年(わ)2557号 判決 1979年2月13日

一、(本店所在地)

神奈川県川崎市川崎区昭和二丁目一四番一九号

(商号)

日進金属株式会社(以下、川崎日進という)

(代表者) 右代表取締役 布野一夫

(代表者住居) 神奈川県川崎市川崎区昭和二丁目一四番一九号

二、(本店所在地)

神奈川県藤沢市西富二丁目七番九号

(商号)

日進金属株式会社(以下、藤沢日進という)

(代表者) 右代表取締役 布野一夫

(代表者住居) 神奈川県川崎市川崎区昭和二丁目一四番一九号

三、(本籍)

岡山県真庭郡落合町大字赤野九二二番地

(住居)

神奈川県川崎市川崎区昭和二丁目一四番一九号

(職業)

会社役員

(氏名)

布野一夫

(生年月日)

明治四一年八月二五日生

四、(本籍)

大分県宇佐市大字金屋五二番地

(住居)

神奈川県藤沢市西富二丁目七番九号

(職業)

会社役員

(氏名)

南利光

(生年月日)

昭和二年一二月二〇日生

右者らに対する法人税違反各被告事件について、当裁判所は検察官赤松幸夫、弁護人羽田忠義出席の上審理を遂げ、つぎのとおり判決する。

主文

一  被告人日進金属株式会社(川崎日進を指称する)を罰金五〇〇万円に処する。

二  被告人日進金属株式会社(藤沢日進を指称する)を罰金一、三〇〇万円に処する。

三(一)  被告人布野一夫を懲役一年に処する。

(二)  この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

四(一)  被告人南利光を懲役八月に処する。

(二)  この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

第一  被告川崎日進は神奈川県川崎市川崎区昭和二丁目一四番一九号に本店を置き、製鉄原料の販売等を営業目的とする資本金一、二〇〇万円の株式会社であり被告人布野一夫は同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人布野一夫は被告川崎日進の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部除外及び架空仕入を計上して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿し、

一、昭和四九年二月一日から昭和五〇年一月三一日までの事業年度における右被告会社の実際所得金額が九、九二六万三、八一五円あつたのにかかわらず、同年三月二九日川崎市川崎区榎町三番一八号所在の所轄川崎南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三、九六五万三、六九三円で、これに対する法人税額が一、四四四万七、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度の正規の法人税額三、八二六万五、六〇〇円と右申告税額との差額二、三八一万八、六〇〇円を免れ

二、昭和五〇年二月一日から昭和五一年一月三一日までの事業年度における右被告会社の実際所得金額が一、六五五万八、四七五円あつたのにかかわらず、同年三月三〇日前記川崎南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五七七万〇、三〇二円で、これに対する法人税額が一二五万七、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度の正規の法人税額五三六万九、三〇〇円と右申告税額との差額四一一万二、二〇〇円を免れ

第二  被告藤沢日進は神奈川県藤沢市西富二丁目七番九号に本店を置き、製鉄原料の販売を営業目的とする資本金二〇〇万円の株式会社であり、被告人布野一夫は同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているもの、被告人南利光は同会社の取締役として相被告人布野一夫の指揮監督のもとに同会社の営業に関する業務を担当しているものであるが、被告人布野一夫、同南利光は共謀の上、被告藤沢日進の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿し、

一、昭和四八年一〇月一日から昭和四九年九月三〇日までの事業年度における右被告会社の実際所得金額が一億〇、〇九三万〇、三九七円あつたのにかかわらず、同年一一月二八日藤沢市朝日町一番八号所在の所轄藤沢税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六三万八、七九六円で、これに対する法人税額が一七万八、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度の正規の法人税額三、九六五万一、八〇〇円と右申告税額との差額三、九四七万三、三〇〇円を免れ

二、昭和四九年一〇月一日から昭和五〇年九月三〇日までの事業年度における右被告会社の実際所得金額が三、九〇六万五、五〇一円あつたのにかかわらず、同年一一月一九日前記藤沢税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零円(欠損金額一一七万二、五二一円)、これに対する法人税額が零円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度の正規の法人税額一、四七八万五、〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示第一冒頭事実

一、登記官上野良臣作成の登記簿謄本

判示第一、一事実

二、押収してある法人税確定申告書(自昭和四九年二月一日至昭和五〇年一月三一日。川崎日進分。)一通(昭和五三年押第二六一号の一)

三、大蔵事務官横山連作成の脱税額計算書(自昭和四九年二月一日至昭和五〇年一月三一日。川崎日進分)

判示第一、二事実

四、押収してある法人税確定申告書(自昭和五〇年二月一日至昭和五一年一月三一日。川崎日進分。)一通(昭和五三年押第二六一号の二)

五、大蔵事務官横山連作成の脱税額計算書(自昭和五〇年二月一日至昭和五一年一月三一日。川崎日進分)

判示第一、一及び二事実

六、大蔵事務官横山連作成の昭和五二年一一月五日付四通(仕入関係覚書ノート(川崎分)調査書、給料手当(架空分)調査書、給料手当(簿外分)調査書(覚書ノート(川崎分)にかかる分)、支出交際費等の損金不算入額調査書(日進川崎)と題する各書面))、同年二月一九日付、同年三月四日付各査察官調査書

七、大蔵事務官前田昌男作成の昭和五二年二月一九日付、同年同月二四日付各査察官調査書

八、布野勝久の検察官に対する供述調書

九、布野二夫(三通)、帳間花子の大蔵事務官に対する質問てん末書

判示第二冒頭事実

一〇、登記官羽生武雄作成の登記簿騰本

判示第二、一事実

一一、押収してある法人税確定申告書(自昭和四八年一〇月一日至昭和四九年九月三〇日。藤沢日進分。)一通(昭和五三年押第二六一号の三)

一二、大蔵事務官横山連作成の脱税額計算書(自昭和四八年一〇月一日至昭和四九年九月三〇日。藤沢日進分)

判示第二、二事実

一三、押収してある法人税確定申告書(自昭和四九年一〇月一日至昭和五〇年九月三〇日。藤沢日進分。)一通(昭和五三年押第二六一号の四)

一四、大蔵事務官横山連作成の脱税額計算書(自昭和四九年一〇月一日至昭和五〇年九月三〇日。藤沢日進分)

判示第二、一及び二事実

一五、大蔵事務官横山連作成の昭和五二年一一月五日付(代表者勘定調査書(日進藤沢)と題する書面)、同年三月一六日付、同年二月二一日付(二通)、同年三月一八日付各査察官調査書

一六、大蔵事務官今井清水作成の昭和五二年三月五日付、同年同月一五日付各査察官調査書

一七、大蔵事務官前田昌男作成の昭和五二年二月一八日付査察官調査書

一八、大蔵事務官前田昌男作成の「査察官調査書の一部訂正について」と題する書面

一九、及川清毅作成の証明書

二〇、南明子の大蔵事務官に対する質問てん末書(三通)

二一、被告人南利光の大蔵事務官に対する質問てん末書(一五通)

二二、被告人南利光の検察官に対する供述調書(三通)

二三、被告人南利光の当公判廷における供述

判示全事実

二四、大蔵事務官横山連作成の昭和五二年一一月五日付査察官調査書二通(簿外の収支状況、簿外損益取引調査書と題する書面)

二五、東矢永久の大蔵事務官に対する質問てん末書

二六、朴鐘虎の検察官に対する供述調書

二七、被告人布野一夫の大蔵事務官に対する質問てん末書(二一通)

二八、被告人布野一夫の検察官に対する供述調書(五通)

二九、被告人布野一夫の当公判廷における供述

(法令の適用)

一、被告川崎日進について。

右被告人の判示第一、一及び二の各所為はいずれも法人税法第一五九条第七四条第一項第二号第一六四条第一項に各該当するところ、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので同法第四八条第二項により各所定罰金額を合算してその金額の範囲内で右被告人を罰金五〇〇万円に処する。

二、被告藤沢日進について。

右被告人の判示第二、一及び二の各所為はいずれも刑法第六〇条法人税法第一五九条第七四条第一項第二号第一六四条第一項に各該当するところ、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので同法第四八条第二項により各所定罰金額を合算してその金額の範囲内で右被告人を罰金一、三〇〇万円に処する。

三、被告人布野一夫について。

右被告人の判示第一、一及び二の各所為はいずれも法人税法第一五九条第七四条第一項第二号に、判示第二、一及び二の各所所為はいずれも刑法第六〇条法人税法第一五九条第七四条第一項第二号に各該当するところ、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので同法第四七条本文第一〇条により最も犯情の重い判示第一、一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で右被告人を懲役一年に処することとし、尚同法第二五条第一項第一号を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

四、被告人南利光について。

右被告人の判示第二、一及び二の各所為はいずれも刑法第六〇条法人税法第一五九条第七四条第一項第二号に各該当するところ、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので同法第四七条本文第一〇条により犯情の重い判示第二、二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で右被告人を懲役八月に処すこととし、尚同法第二五条第一項第一号を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

五、よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 宗哲朗)

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